2016.02.10【360channel Report:Vol.3】アマゾンの体験価値

「地球上で最も豊富な品揃え」を目指すアマゾンが、いよいよ実店舗の拡大展開を始めるようです。

 

すでにシアトルでオープンした1号店は、「本の表紙を見せる陳列」や「スマホアプリで価格をみる」など、これまでの書店の常識を覆す展開が話題になりました。

 

では、なぜ今、アマゾンが実店舗を数百店舗も展開しようとしているのでしょうか?

 

私が始めてこの記事を見たときに思ったことは、「体験価値の醸成」です。アメリカのある統計データでは、ECサイトだけを運営している企業の業績が初めて赤字になったとあります。つまり、ネット上での顧客争奪戦が激しくなる中で、実店舗の展開がECの売上を後押しするということが明らかになりました。アマゾンも、店舗空間における独自のブランド体験を価値として提供するために、愛読者にとって心地のよい場を提供しようと考えているのではないでしょうか?

 

そして、もう1つが「ショールーミングの徹底活用」です。ショールーミングとは、家電量販店など実店舗で商品を確かめネットでさらに安い商品を購入する購買行動を指します。他の店舗に同じ商品がある場合は、これによって他の店舗に売上を取られてしまう可能性があるため、小売店にとっては価格競争に陥りやすく頭の痛い問題です。しかし、アマゾンでしか売っていない製品においては、製品に触れて確かめることが不可欠で、むしろショールーミングが売上に寄与すると考えたのではないでしょうか?確かに、アマゾンタブレット「Fire」や電子書籍リーダー「Kindle」、AIスピーカー「Echo」など、TVやネットだけの情報では購入までたどり着かない。まさに、ネットではフォローしきれていない消費者心理に対応した結果ではないでしょうか?

 

アマゾンがこのように実店舗を通してファンを増やすことは極めて重要で当たり前の戦略に思われますが、実店舗の運営コストは、ECに比べてはるかに重く、今後この展開がどこまで広がっていくのか大変気になるところです。

 

http://www.businessinsider.com/amazon-is-planning-to-open-hundreds-of-bookstores-2016-2

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