2015.12.25360channel Report:Vol.1 オムニ7の挑戦
ちょうど今から1年半前、私は「オムニチャネル時代のBigData活用」というセミナーに参加していました。登壇したのは、当時セブンネットショップの社長であった鈴木康広氏。鈴木康広氏は、セブン&アイHD代表取締役会長の鈴木敏文氏の二男で、現在はセブン&アイHD取締役執行役員CIOとして、セブン&アイのオムニチャネル戦略の指揮を執っています。
実はその半年前に、私は「セブン&アイHLDGS.9兆円企業の秘密―世界最強オムニチャネルへの挑戦」という本に出会っていました。当時「オムニチャネル」はトレンドワードで、その意味の本質を理解したいと、自然とその本を手にしていました。ただ、読み終わった後の感想は、「便利」と引き換えに、何とも言えない気持ち悪さを覚えました。それはきっと、「個人」の好みによって推奨される情報がコンピューターを通して一方的にやり取りされる不快感にあったと思います。極端な言い方をすると、「ぬくもり」や「思いやり」を感じませんでした。そのため、私が鈴木氏のセミナーに出席するまで、「オムニチャネル」という言葉がエキセントリックな言葉でなりませんでした。
しかし、セミナーに出て、私の考えはがらりと変わりました。
セミナーの冒頭に、鈴木氏はこう語りました。
「すべてがインターネットにつながり、インターネットですべてが買え、街からお店が消えたら、寂しくないですか?」「家から一歩も出なくても暮らせるのって、人間の営みとしては異常ではないですか?」
それを聞いた瞬間、私が感じていた不安は、みごとに消えてなくなりました。そして、彼らの「オムニチャネル構想」の根底に、「お店や接客(ご用聞き)」があることが分かりました。それは、ネットに馴染みのない高齢者も、お店(時に宅配時)の「接客」を通じて、お店にない商品を買える。そんな世界に類を見ない試みが始まろうとしていたのです。
「高齢化社会の中で買い物難民を減らす」、「全世帯の1/3を占める一人暮らしの健康管理をサポートする」、「働く女性が増える中、主婦の代わりなる」など、お客様の立場に立った明確な課題解決。これこそが、彼らがオムニチャネルを推進する理由であり、私が感銘を受けた点でもありました。
今年11月、ついに「オムニ7」が始まりました。私も一消費者として、まだまだ使いこなせていませんが、Amazon.comとの使い心地の違いを、この場でも紹介していきたいと思います。まずは、WBSで放送された「オムニ7の全容」を共有いたします。